歪んだ愛しさ故に
12章 恋人デート
 
「………ん…」


次に目を覚ましたのは、
すでにカーテン越しからでも分かるほど、日の光が部屋の中に差し込んでいる時間だった。


目の前には、規則正しい寝息を立てて眠る上沢さん。

夜中布団の中に入ってきた状態のままと同じで、あたしを抱きしめている。


至近距離で見ても、文句の付けどころのない整った顔。
だけど朝と言うこともあって、顎にかかるうっすらと生えた髭。

髭は比較的好きじゃないけど、彼に生えたそれは、彼の顔を余計にワイルドに仕立て不思議とカッコよく見えた。



肩痛い……。


ずっと腕枕をされてたみたいで、肩に走る軽い痛み。

腕枕は得意じゃない。
だから寝るときは、しなくていいと言っているけど、昨日は寝たふりのあたしの顔の下に、そっと突っ込んできたみたいで……。



「……ん…」


頭をあげ、伸ばされた手をそっと布団の中にしまおうとしたら、それに反応してピクリと上沢さんの体が動いた。



「………もう朝…?」

「あ……うん…」



うっすらと開けられた瞼。
そこからでも分かる、漆黒の瞳。

つい、ドキンと胸が高鳴った。
 
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