歪んだ愛しさ故に
「どこが高いとこなの?」
「あれ」
「え?……あ…」
そう言って指差したのは、一つの観覧車で……。
「でも乗るのは夜になってから」
「……うん」
ここからでも分かるくらい、大きな観覧車。
すぐに乗るわけでもなく、拓はそことは反対のショッピングビルの中へと進んでいく。
「ほら」
差し出された手。
それは、手を繋ぐという合図で……
「……」
柄にもなく、
あたしは顔を赤くしながら、その手に自分の手を重ねた。