歪んだ愛しさ故に
 

「どこが高いとこなの?」
「あれ」
「え?……あ…」


そう言って指差したのは、一つの観覧車で……。


「でも乗るのは夜になってから」
「……うん」


ここからでも分かるくらい、大きな観覧車。

すぐに乗るわけでもなく、拓はそことは反対のショッピングビルの中へと進んでいく。


「ほら」


差し出された手。

それは、手を繋ぐという合図で……



「……」



柄にもなく、
あたしは顔を赤くしながら、その手に自分の手を重ねた。
 
< 175 / 287 >

この作品をシェア

pagetop