歪んだ愛しさ故に
13章 卑怯な手口
「琴音、ランチ行かない?」
「え?あ、はい」
いつもの業務。
お昼時になり、周りが席を立ち始めたころ、あたしのもとへ玲子さんがやってきた。
二人で飲みに行ったあの日から、急激に距離が近くなったあたしと玲子さん。
価値観や波長などが合うことが分かり、こうやってランチをともにすることも増えてきた。
「お腹空いたー。何食べる?」
「何食べましょうかねぇ……。昨日の夜、パスタだったんで、それ以外を」
「了解。……ハンバーグとかは?」
「いいですね」
意見が一致して、会社からさほど遠くはない洋食店へ。
中には数組、会社の人がいて、軽く会釈をすると、離れた席へと案内された。
「あたし、デミグラスソースで」
「あたしは……和風おろしにします」
それぞれ注文をとったあと、玲子さんは大きく伸びをしていた。
「あー疲れるぅ……。
まだ木曜日かぁ。あと一日!」
「玲子さん、最近毎日遅いですよね」
「そー。そういう琴音も遅いじゃん」
「はい……」
あたしは、新企画プロジェクトを……。
玲子さんはもうすぐ締め切りの広告案を……。
ということもあり、
お互いに毎日終電クラスだった。