歪んだ愛しさ故に
「今日お前があんな格好で出社してたから……。
絶対に何かあるかと思ってた」
「……」
久しぶりに地味な格好をして出社していた自分。
その姿は、バッチリと拓にも捕えられていたのはわかっていたけど、でも何も会社ではアクションをしかけてこなかった。
だからたいして気にはされていないと思っていたのに……。
「だけど気が付いたら、勝手に一人で帰ってるし。
俺があんな時間まで仕事してた意味ねぇじゃん」
「え……」
「今日は別に、早く帰れたんだよ」
頭の上から聞こえた声は、バツが悪そうな声。
拓が遅くまで仕事をしていたのは、あたしを見張っていたからなんだ……。