歪んだ愛しさ故に
15章 カッコいい先輩
「ということで先方から了承を得ました。
みなさん、ご協力ありがとうございました!」
「よっしゃ!」
新企画プロジェクトも着々と進み、チームで決定して作り上げた案を先方に提出したところ、多少の修正案はあったものの無事に採用と言う知らせを受けた。
あとは代表であった木村さんがおもに進めていくので、あたしたちの出る幕はここまで。
今日からまた、自分の担当の先方のみとなる。
ようやく、少し早く帰れそうだな……。
と心の中でほっと一息ついて、自分の席へとついた。
「琴音」
「はい?」
オフィスで「琴音」と名前で呼ぶのは、一人しかいない。
その相手が玲子さんだと分かり、ほんの少しだけ身構えてしまった。
「今日さ、ちょっと相談したいことがあるんだけど……
夜空いてる?」
「え?あ……はい」
その言葉に、内心ドキドキとしていた。
いったい玲子さんの相談とは、なんなんだろうか……。