歪んだ愛しさ故に
「逆にもし、あたしの知らないところで、琴音が健太の条件を呑んでいたりなんかしたら、それこそ怒ってたんだから……!
もっと自分を大事にしなさい!
それで……
あたしのこと、もっと信用してよ」
「…っ」
ふわりと微笑む玲子さんの顔を見て、思わず熱い涙がこみ上げてきた。
ずっと、同性を信じられなくなっていた自分。
女なんて、恋愛が絡めば、友情を捨てると思い込んでいた自分。
だけどそれは
あたしが単純に、浅い付き合いしかしてこなかっただけで……。
「あたしは、健太より、琴音の言い分を信じてるよ」
まだ、付き合いの浅いあたしたちなのに
友情とか信頼とかに、そんな時間なんか関係なくて
そう言ってくれる玲子さんを、心から尊敬した。
「れい、こさっ……」
「もー、泣かないの。
メイク崩れるよ」
「……っ」
玲子さんは、ただ泣きじゃくるあたしの頭を、優しく撫でてくれた。