歪んだ愛しさ故に
あたしの頭は冷静に働いて
悪魔の微笑みを漏らす彼の顔を見上げた。
「……悪いけど、
あたしは貴方みたいな人、大嫌いだから」
笑顔も愛嬌もふるまわず
冷たい視線だけを彼に向ける。
簡単に好きとか言うような男は
この世で一番嫌いな存在。
だけどあたしの言葉なんか、最初から分かっていたように
上沢さんは微笑を崩さない。
そしてずっと手にとっていた髪を口付けると……
「いいね、その瞳……。
すげぇゾクゾクする」
妖艶という言葉がよく似合う、色香に満ちた瞳であたしを見据えた。