歪んだ愛しさ故に
 





「あたしの予想からするとさ」


しばらく泣きじゃくって、ようやく涙が引っ込んだ頃、
あたしと玲子さんは駅のロータリーの石段に腰をかけていた。


そして、ふと会話を切り出す。


「健太の頬の傷。
 あれ、上沢が殴ったんでしょ?」

「え?あ……はい」

「やっぱねー」


思い出したのか、面白そうに「ははっ…」と笑っている。
 
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