歪んだ愛しさ故に

　
「じゃあ、上沢は知ってるんだ？今回のこと」

「はい……。それなりには……」

「ふーん？
　それで、アイツが人を殴るなんて……ねぇ……。

　相当、琴音のことが好きなんだね」


その言葉を聞いて、口を閉ざしてしまった。

拓があたしを好きだなんて……
そんなことはない。


「え？違うの？
　……あ、そういえば前に、本気の付き合いじゃないとか言ってたよね。

　それって、どういう意味なの？」


目を丸くさせ、顔を覗き込んでくる玲子さん。


どこまで話すべきか……。
そんなことを考えるのもめんどくさかった。


いや、誰かに聞いてもらいたかったのかもしれない。



「ただの……暇つぶし対象なんです」



あたしの愚痴を……。