歪んだ愛しさ故に
 
地味女として人生を貫き通すはずだったあたしに、
誰からも注目を浴びる完璧なあの人。


ただそこにあったのは、興味本位。


「あたしもあたしで、そんな上沢さんの鼻を明かしたいってこともあって、受け入れてしまって……。
 絶対にこの人を、あたしに落としてやろう。そして今まで女をバカにしてきたことを後悔させてやろう、って思ったんです。

 でも……」


そう思ってた。

全ては拓を陥れるため……。
今までの罰を与えるため……。



「でも?」


「……ダメ、ですね……。

 落ちたのは……あたしのほうでした」




憎かったはずの人を

好きになってしまった。
 
< 244 / 287 >

この作品をシェア

pagetop