歪んだ愛しさ故に
地味女として人生を貫き通すはずだったあたしに、
誰からも注目を浴びる完璧なあの人。
ただそこにあったのは、興味本位。
「あたしもあたしで、そんな上沢さんの鼻を明かしたいってこともあって、受け入れてしまって……。
絶対にこの人を、あたしに落としてやろう。そして今まで女をバカにしてきたことを後悔させてやろう、って思ったんです。
でも……」
そう思ってた。
全ては拓を陥れるため……。
今までの罰を与えるため……。
「でも?」
「……ダメ、ですね……。
落ちたのは……あたしのほうでした」
憎かったはずの人を
好きになってしまった。