歪んだ愛しさ故に
「何か仕掛ければ仕掛けるほど、余裕な態度で返ってくるんですよ。
かと思えば、どういうつもりか分からないような甘い言葉も言って来たり……。
翻弄されまくりです。
さすが、今まで女を弄んできた男なだけありました」
自分で自分に苦笑し、嘲笑った。
ほんと、バカだな。
こんなつもり、なかったのに……。
「……それってさ。
きっと向こうも同じかもしれないよ?」
「……え?」
玲子さんの言葉に、意味が分からず顔を上げた。
玲子さんは、心配そうな顔であたしを見つめている。
「確かに向こうも、最初はただの暇つぶしで琴音に近づいたのかもしれない。
……けど、振り回されていたのは向こうも同じ。
じゃなければ、取り乱して、人を殴ったりなんかしないでしょ」
「……」
言われて思い出す。
あの時の拓を……。
健太に襲われかけたところを、殺意のこもった顔で殴り飛ばし、睨みをきかせた。
確かにあれは、本気の瞳で……。