歪んだ愛しさ故に
2章 強引なキス
「上沢!この前のプレゼン資料なんだけど、向こうがもっと詳しく聞きたいって」
「マジですか!すぐに改めて作り直します!」
「期待してるぞー」
目の前で繰り広げられる、当たり前の日常。
上沢さんは、いわゆるうちの会社の期待の社員で、上の人からは期待され、下の人からは尊敬されるというデキる人間。
「かみざわさーん!
ここの資料、いったい何が足りないと思いますかねー」
「んー?
じゃあ、あとで俺のスケジュール見ながらどっか会議室とって。
30分なら、見直してやるから」
「ありがとうございます!」
面倒見もいいし、愚痴の一つも吐かない。
こんな完璧な人って、本当に存在してたんだ……。
なんて、ずっと思ってた。
昨日まで……。
(いいね、その瞳……。
すげぇゾクゾクする)
だけどあの時見せたあの顔が
間違いなく彼の本性だ。