歪んだ愛しさ故に
 
悔しいな、ほんと……。

あたしの計画は、本来ならこれで順調だった。


彼をあたしに惚れさせて、
ボロボロにして捨てる。

彼が今まで積み重ねてきた罪を、自分の身をもって償わせるために……。


だけど……




「……っ」

「琴音?」





悔しい気持ちも全部抑えて
目の前の拓に抱き着いた。


悔しさよりも、嬉しさのほうがずっと上で……
胸の中から湧き上がる想い。





「悪いけど……

 もう……好きですから」

 
 
< 260 / 287 >

この作品をシェア

pagetop