歪んだ愛しさ故に
 


   ***



「高校になっても、そんな感じ。
 学校では爽やかな憧れの人を演じておきながら、外で散々遊んで……。

 表と裏の顔を使い分けてた。

 ま、成績はだいぶ落ちてたけどな」



そこまで言うと、拓は「ははっ」と笑った。


上半身裸の拓の背中は、いくらエアコンが効いている部屋であっても、ひんやりと冷え切っていて……



「……琴音…?」

「……」



そんな背中に、抱き着かずにはいられなかった。



「拓は……すごいね」

「べつにすごくねぇよ。最低なことしてたんだし」

「それでも、完璧な自分をつくりあげることって、並大抵な努力じゃ出来ない」



容姿こそは、生まれ持ってのものかもしれない。


だけど成績だって、スポーツだって……
ましてや、人気者になるための性格なんて……。

ただ、なりたいと思うだけではなれなもの。


そんな人間になっていたのは、やっぱりそこに、拓の努力があったからで……。
 
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