歪んだ愛しさ故に
 
「琴音……」


顔だけ振り向いて、視線を絡み合わせる。


揺らぐ漆黒の瞳。

あんなに強気で、怖いとすら感じていたこの瞳が
今では儚く感じて、あたしが守ってあげなくちゃとすら思う。



抱き寄せられたわけでもなく
合図をされたわけでもなく



あたしたちは、ごく自然と

引き寄せられるようにキスを交わした。



拓のキスからは、まだ煙草の香りがして
あたしの口内に煙が充満していくよう。


ふっと口を離して
指先で拓の唇をなぞった。



「煙草……あたしもまた吸おうかな…」



漏らした言葉に、拓は一瞬驚いたように目を見開いたけど、



「ダメ。お前は吸ったら」



と、にやりと微笑んで否定された。
 
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