歪んだ愛しさ故に

　
「豊田、ちょっと……」
「あ、はい」


自然と目が上沢さんを追いかけていると、上司に呼ばれ我に返った。


「なんですか？」
「ちょっとお前に、この話が持ち上がってるんだが」
「え？」


そう言って手渡されたのは、
今度始まる新企画プロジェクトの一つで……。


「お前もチームのメンバーとして、参加してみたらどうだ？」
「……はい…」


ハテナマークが語尾についているけど、基本こういったことの拒否権なんてない。


プロジェクト参加か……。
ちょっとめんどくさいな……。


そう思ったのも本音。
だけどメリハリのない仕事を毎日続けるよりは、新しいことに挑戦するのは割と嫌いじゃない。


「さっそく今日の18時から打ち合わせ入ってるから」
「分かりました」


というか、定時が18時まででしょ。
その時間から会議ってどうなの？

そんな愚痴を心の中で漏らしながら、上司からその資料を受け取った。