歪んだ愛しさ故に
 
「ただいま」


結局、指輪だけ買って、再び拓のマンションへと帰ってきたあたしたち。

二人の左手には、さっき買ったばかりの指輪が輝いている。


「なんか、すげぇ照れるんだけど」
「あたしも」


二人とも、まだまだこういったことに慣れていなくて
カップルらしい行為にいちいち照れてしまう。


「ペアリングとか、するようなやつ、すげぇだせーと思ってたんだけどな……」


指に嵌まっている指輪を見て、拓がつぶやいた。

そこには、窓から差し込む太陽の光に照らされて、キラキラと光る指輪があった。


「なんか、お前の印って思うと、悪くねぇかも」


そう言って、ニヤッと微笑む。



なんだろう……。

なんか……




「拓が素直で怖い」



 
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