歪んだ愛しさ故に
3章 腹黒女
 
「……駅、そっちじゃないと思いますけど」
「いいよ。タクシーで帰るから」
「なんで……」


結局、再び眼鏡をダシに一緒に帰らざるを得なくなり、
帰るだけなら我慢できると思って、ついていった。


「近所だから一緒に乗っていけばいいっしょ」
「……」


なんだかもう、めんどくさくなっていたのかもしれない。

断ろうと思ったけど、どうせまた
「メガネはいいの?」
なんて言われるのがオチだと分かって、拒むのもやめた。


メガネ代だってバカにならない。
今月、そこまで余裕ないし。

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