歪んだ愛しさ故に
「ちょ…なんで……」
「なんでって、家近いんだからいいだろ」
「……」
確かにそれを言われたら、当たり前のことかもしれなくて……。
タクシー代だって、半分で済むし。
でも……
「じゃ、お先!!」
当たり前のように笑顔で、取り残された子たちに手を振る。
バタンとドアが閉まって、タクシーが発進された。
「視線、怖いんですけど」
「頑張って」
上沢さんが、こっちを向いた瞬間、
同期の子たちから向けられた明らかな敵意を感じる視線。
人がそう言ったことから避けようとしているのに、簡単にこの人はそれを壊していく。
「あーだりぃ……」
上沢さんは一言漏らして浅く座ると
勝手に人の肩にもたれかかってきた。