歪んだ愛しさ故に
「重たい……」
「自分つくるって、ほんと疲れるよなー……」
「……」
じゃあ、作るのやめればいいじゃん。
と心の中で思ったけど
それすら言い返すのもめんどくさくて、放っておくことにした。
自分を偽るのは、確かに疲れる。
自分が思うままに生きられたら、どんなに楽なんだろう。
でも……
(こ、琴音が誘ってきたんだ!)
(信じてたのにっ……)
どうやらこの世界には、
自分に素直に生きていい人間と
そうじゃない人間の二通りがいる。
あたしはその後者で……
「………疲れますよね…」
この人がいったいどうして自分をこんなにも偽っているのか分からないけど
人には人の理由があるのかもしれないと思うと、一方的には責められなかった。
「……今日は俺んち寄ってけば?」
「……」
もしかして本当は
こうやって傷のなめ合いをする相手が欲しかったのかも。