歪んだ愛しさ故に
 
「ちょっ……」
「んー?」


部屋に入るなり、
すぐに後ろから抱きしめてきて、人の首筋に顔をうずめている。

ほんのりと触れる唇に、不覚にもピクンと反応してしまった。


「お酒臭い」
「今日は久々にかなり飲んだからな」


そんなことを言いながら、勝手にコートのボタンを外して脱がされてしまった。


「今日さー」
「……何ですか?」
「ちょっと柳さんと中村とで、お前の話が出てさー……」
「……」


ああ、あの時のことか。

ふと休憩室でのことを思い出して、少しだけ嫌な気持ちになった。
 
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