歪んだ愛しさ故に
5章 二つの顔
「豊田さん、一緒にランチ行かない?」
月曜日、いつものように仕事していると、あたしのデスクのもとに同期の女の子が集結。
普段あたしを誘う人なんて、玲子さんくらいなので、これはかなりめずらしいこと。
まあ、誘った理由なんて目に見えてるけど。
「……うん、いいよ」
だけど事は大きくしたくないと思って、ひとまず頷くと、鞄の中からお財布を出して一緒に外にランチへ行くことにした。
「あたし、これにしよっかなー」
「いいねっ。でもこっちも捨てがたくない?」
「確かにー!」
いかにも女子らしい声で話す二人は、この店のランチパスタメニューで悩んでいるらしい。
あたしはさっさと、Aランチで決まって、二人が決めるのを待っていた。
「じゃあ、A2つと、B1つで」
「かしこまりました」
悩んでいた二人は、お互いに分け合うことを約束して落ち着いたらしい。
「豊田さん」
「何?」
「この前の金曜日、どうだったの?」