歪んだ愛しさ故に
 
「まあ、そうなんだけどな」

「うわ……」

「けど俺、結構琴音のこと、気に入ってるけど?」

「……」


途端に近づけてくる顔。

その端正な顔立ちは、ドキドキしたくなくても鼓動が勝手に速まっていく。


「もったいないと思ったから。
 せっかくの容姿が、こんな眼鏡と髪に隠れて」

「……最初から計算だったんですね。
 あたしがこの自分を捨てさせるために、みんなにあたしを口説いてるとか言って……」


その言葉に、上沢さんは意地悪く微笑んだ。


「……ムカつきますね」

「だろ?」


睨んで見上げても、その微笑みが崩れることはない。

むしろあたしが苛立ちを感じることに悦びを感じてそうで……




「もっともっと、
 振り回されればいい」




そう言って、あたしの唇にキスを落とした。
 
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