Love song from dieting ~67㎏から45㎏への恋唄~
先生は
本当に申し訳なさそうに言った。





『夜のクラスが終わった後、
いつも1人で
ロッカールームを掃除してくれてるのを、
僕は知ってる。


望ちゃんからも聞いた。


当番でもないのに、
いつも、
教室のゴミ箱を片付けたり、
プラントに水をやったり、
そういう事を黙ってやってるって。


何でいじめに遭っているのか分からないくらい、
細かい事に気遣いが出来ると
望ちゃんやこだまちゃんも言っていた』





私は
心から、
望ちゃんとこだまちゃんに
感謝した。


そして
見ていてくれていた先生にも、
感謝していた。





先生は
窓の方を見ながら言った。





『どうして、
みんな痩せたがるんだろうね。
痩せても
幸せになれるかどうか分からないのに。


その先に
何も待ってないかもしれないのに。


そうやって
いつしか痩せる事そのものが目標になっていく。
目的と手段が入れ替わってしまう。


いつも、
いつでも、
他人と自分を比べるようになる』





私は
先生の哀しそうな横顔を見ていた」


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