リップフレーバー
深夜の2人
夕方から始まった編集会議で、GOサインが出たのは結局22時。
三十路を過ぎると体力が落ちると言うけど本当だよね、と心の中で呟く。
クタクタの体を引きずり帰路に着くと、1人暮らしの筈のリビングには灯かりとテレビの笑い声。
その人はソファに埋もれているらしく、膝から下だけがニョッキリと飛び出てその存在を示していた。
ひょいと覗き込むと長い足の持ち主は、小さな寝息を立てている。
待ちくたびれたのだろう、と思うと少しだけ罪悪感を感じる。
彼の綺麗な寝顔をそっと撫でた。
何故か懐かれてしまった年下の男、陽希(はるき)。
サラサラの茶色い髪も整った顔立ちも好きだけど、悪戯っぽく光る瞳が好き。
悔しいから言わないけど。
「……ん」
そっと触ったつもりでも、外から帰ってきたばかりの私の手は冷たかったらしく、彼の瞼がピクリと動いた。
「美知佳(みちか)さん、お帰り」
長い前髪をかき上げながら、気怠そうに陽希は体を起こす。
三十路を過ぎると体力が落ちると言うけど本当だよね、と心の中で呟く。
クタクタの体を引きずり帰路に着くと、1人暮らしの筈のリビングには灯かりとテレビの笑い声。
その人はソファに埋もれているらしく、膝から下だけがニョッキリと飛び出てその存在を示していた。
ひょいと覗き込むと長い足の持ち主は、小さな寝息を立てている。
待ちくたびれたのだろう、と思うと少しだけ罪悪感を感じる。
彼の綺麗な寝顔をそっと撫でた。
何故か懐かれてしまった年下の男、陽希(はるき)。
サラサラの茶色い髪も整った顔立ちも好きだけど、悪戯っぽく光る瞳が好き。
悔しいから言わないけど。
「……ん」
そっと触ったつもりでも、外から帰ってきたばかりの私の手は冷たかったらしく、彼の瞼がピクリと動いた。
「美知佳(みちか)さん、お帰り」
長い前髪をかき上げながら、気怠そうに陽希は体を起こす。
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