だから私は雨の日が好き。【花の章】
自覚
「亜季さん、これで今年の仕事は終了ですね」
「えぇ。みんなお疲れ様。今年も最終出勤日に仕事が終わるなんて、優秀ね」
「それにしても、今年は忙しかったですねぇ。役員参加の忘年会、多かったですよね?」
「そうねぇ。企画営業部がらみばかりだったわね」
年末の忘年会シーズンが終われば、我が社は年末年始休暇に入る。
といっても、イベントを扱うような部署を有する当社は、休みなく働く部署だってある。
役員の多くが家族サービスを大切にしているので、秘書課は平穏な年末年始を送ることが出来るのだ。
「この後、どの年代も同期忘年会ですよね?亜季さんは行かないんですか?」
「そうねぇ。今年行くと、注目の的になりそうだし」
「いいじゃないですか!それに、わだかまりを無くすいい機会ですよ」
「考えておくわ」
千景は自分の机の上を片付けながら言う。
私は、休暇の間に社長が必要とするであろう資料を整理してファイリングしていた。
定時まであと三十分。
うちの会社は、最終出勤日に『同期忘年会』というのが恒例で。
残っている同期が集まって忘年会をすることになっている。
幹事は次の年の幹事を指名することが出来る。
なので、結局毎年恒例になっているのだ。
「みんなも同期忘年会、行くの?」
秘書課の後輩たちに問いかけると、全員が『行きます』と綺麗にハモって答えてくれた。
元気がいいな、と微笑ましい気持ちになり『潰れないようにね』と小さなお小言を言った。