だから私は雨の日が好き。【花の章】
「今日は美憂(ミユ)が頑張ってお店まで探してくれたんですよ!」
「あら、そうなの?」
「はいっ!亜季さん好みのところ見つけてきましたから、期待しててください!」
「楽しみね。じゃあ、行きましょうか」
「「「「はいっっ!!」」」」
『最年少の美憂が頑張ってくれた』ということには、とても嬉しく思った。
女所帯の中で懸命に頑張る彼女の姿は、仕事に慣れてしまっていた私達にとても刺激をくれるものだった。
全員で明日のスケジュール確認をし、秘書室の施錠をして会社を後にする。
並んで歩くと私たちはそれなりに迫力があるようなので、街中では大抵の男が振り返る。
その視線に慣れている私達は気にもならないけれど。
周りの人は気になるらしく色んな目線が私達を見つめている。
それも秘書課の仕事だ。
見定められる。
会社の顔の隣に並ぶ者として相応しいかどうか。
前に出ることをせず、かといって気の利かない風でもなく。
こうして視線を集めることも、有能な秘書である証明だと想っている。
「亜季さん、相変わらず視線集めてますね」
「ん?私だけじゃないわよ。みんながいるからでしょ?」
「いえ・・・、男の人は基本的に亜季さんを見てると思いますけど・・・」
「それは嬉しいことだわ。私もまだまだイケるわね」
そんなことを言うと、『当たり前です!』だの『亜季さんはずっとモテてますから』だの騒ぎ始めたので苦笑いを零した。
必死になってくれる彼女たちがいて、本当に良かったと思う。