だから私は雨の日が好き。【花の章】





それから、私と森川君の関係は途切れることがなかった。

今までほとんど関わりのなかった私達が、週に一回、そのまま泊まれば週に二日も一緒にいることになっていた。

自分のことをあまり話したがらない森川君。

自分の話をしようなどと思いもしない私。

似ている部分が多く、一緒にいればいるほど楽な存在だと気付いた。



そんな中でも、彼はたまに部署の話をしてくれる。

彼から語られる圭都や山本さんの話は、やっぱり私を苦しくさせた。

それでも『聞きたくない』という嫌悪感は生まれず、むしろ今二人がどうしているのか、知りたいという気持ちにさえなった。


森川君から語られる山本さんは、とてもいい子だった。

彼女は会社の中でも目立つ存在だ。

人よりも高い身長。

スラリとした体形とアンバランスなガサツな性格。

それなのに人を惹き付ける笑顔を持っている彼女を知らない人など、うちの会社にはいないのかもしれない。



自分でも分かっていた。

出逢い方が違えば、圭都の好きな人でなければ。

きっと仲良くなれる存在なのだろうと。



例えば、社内の人が山本さんのことを褒めていたら。

私は素直に『いい子』だなんて想うことは、絶対に出来なかっただろう。


けれど。

森川君の口から語られる彼女のことは、素直に認めることが出来た。


そう想わせるほど、森川君が山本さんを大切にしているということだ。

それはとても切ないことで、それでいて羨ましいと想った。

自分の好きになった人を『素敵な人だ』と誰かに伝えることが出来るのは。

森川君自身が『真っ直ぐ』であることの証明だと想った。




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