潤うピンクの魅惑キス
「原田さんは、せっかく美しい唇をしているんだから、俺にもっとキスをさせて、笑顔を見せて」
「と、時任さん」
「いいでしょ?」
時任からの告白に、恥ずかしげに頬を染めて、原田は再び俯く。
しかしすぐに顔をあげて、弱々しく微笑んだ。
時任の手を握って、こくんと首を縦に振る。
「お弁当、食べよっか」
「はい」
潤うピンクの愛され唇が、綺麗な弧を描いた。
大遅刻から、大恋愛が始まった。
それは全てあのぷるぷるの唇のおかげとも言えよう。
唇フェチでもない人間が、唇をきっかけに人を好きになった。
蕾のようなふっくら唇が、俺を虜にさせたのだ。
その潤ったピンクのぷるつや唇は、俺だけのもの。
「時任さん、私の唇は有料ですよ」
「わかった。覚悟しておくよ」
魅惑のキスまで、あと10秒。
end