幽霊ナイト
数分、彼は何も喋らないでただ何処かを見ていた。
「名前は?」
落ち着いたわたしを横目で見ながらそう問いかけてきた。
「わたしの?」
「君のしかありえないでしょ」
鋭い突っ込み。
確かに、ここには二人しかいないし普通に考えたら、わたしの名前を聞いている以外にあるわけ無い。
「宮野比芽、みやのひめです
あなたは?」
「俺はそう…」
少年の答えを待っているけれど、待っても答えは来ない。
少年は呆れたように溜め息を吐いた。
「比芽、君は抜けてる。
そうが俺の名前。さんずいに奏でるで湊」