ラブレターを貴方に
運命の選択
日曜日。
私は思いきりおめかしをして、家を出る。
待ち合わせの駅前で、高橋さんを待ちながら、何度目かの化粧チェックをした。
ヘアーの巻き具合や、久しぶりに袖を通したワンピースを触れながら、ふと、高橋君の事を思い出す。
オシャレに詳しかった彼。
こうした方が可愛いとか、私の知らなかった魅力を引き出してくれる気がした。
このワンピースも、デートの時に彼が選んでくれたものだ。
ガッツリ見える二の腕に、お気に入りの香りのクリームを塗った。
今日の私は、完璧だ。
高橋君が見たら、きっと、可愛いと絶賛してくれるに違いない。
ん?何で私!?
「はぁ……」
だけど、気分が何故か晴れないのは、ずっと気になっている彼のせいなのは確かで。
携帯を取りだし、受信箱を開く。
彼との待ち合わせの場所は、近くだった。
……待っている筈はない。
でも……
「お待たせ!早かったね、美紀ちゃん」
待ち合わせ時間よりも早くきた高橋さん。
それよりも、早く来た私は、今来たばかりのように装った。
「いえ、私も今来たばかりなので」
「良かった。じゃあ、行きますか」
高橋さんに、促されるまま、私は映画館に向かった。
彼の事が気になっているままに。