ラブレターを貴方に
いつもの様に、社員食堂に向かう私。
今日は、珍しくお客さんが多かった為、一人しか休憩に行けず、愛を先に行かせた私は、ランチ休憩を取るのが、いつもより遅くなったのだ。
色々な売り場の社員で賑わう社員食堂も、この時間は、既にピークを過ぎていた。
「あ~疲れた」
そんな独り言をぼやきながら、腰を下ろすと、ふと、視界に高橋さんの後ろ姿をとらえ、私は思わず背筋を伸ばした。
会話を弾ませながらランチをとる彼。
その向かい側には、同じ紳士服売り場のさえない眼鏡が座っていた。
高橋さんは、本当に誰とでも話せる人なんだなぁ。
そう、関心をしながら、意を決して二人のテーブルに向かうと、小さく深呼吸をした。
「あの、高橋さん、ご、ご一緒しても良いですか?」
「え?ええ、勿論、どーぞ。ええ~と……」
「二宮です、二宮美紀……です。化粧品売り場の」
そう軽く自己紹介をして、さえない眼鏡の横に座る。
高橋さんは、思っていた通り気さくな方で、程よく話をふってくれる。
そのお陰で、私は会話を詰まらせる事もなく、楽しむ事が出来た。
良く笑うその笑顔も、売り場で見る彼のままで。私は、この日から食堂で彼を見掛けては、一緒にランチをとるようになっていた。