ラブレターを貴方に
言っている意味がわからなかった私に、愛は翌日、一冊の雑誌を私に見せた。
「ほら、ここ!」
それは、メンズのファッション雑誌で、何ページかにわたり、黒髪のイケメン君がブランドを着こなし、格好良く載っていた。まさに売れっ子モデル。
愛の話によると、特集がくまれる程、人気があるみたいだ。
名前には、確かに高橋翔太と書かれているけれど。
だけど……
「ええ~、これが?全然違うでしょ?ただたんに、同姓同名なだけだよ~」
「そう?でも眼鏡外したら、案外そうかも!ちょっと調べてみなさいよ?」
「ええ~~」
そんな無茶な事を、平然と言ってくる愛。
だって、昨日あんな事になっておきながら、いきなり“モデルやってる?”なんて、言えやしない。
第一、どんな顔をして会えばいいのか、わからないのに。
私は、入荷した新商品を並べながら、チラリと紳士服売り場を盗み見る。
勿論、彼がいない事を願いながら。
「おーい、翔太!こんな感じでドールOK?」
「はい、バッチリだと思います」
神様のいじわる……。