お姫様と若頭様。【完】
気づいたら勝手に体は動いていて、
目の前には男が倒れていた。
そして俺の背中には飯塚。
呆気に取られたように俺を見つめ、
フリーズ。
あぁ、誰かに背を向けるってのは
逃げるってことだけじゃないんだって、
あいつらの立場になって、
ようやく気付いた。
誰かに背を向けるってのは
信頼してるって…
"仲間"だっていう証拠なんだ。
誰かに背中を見られているのは
今まで正直いい気はしなかった。
でも今は、
後ろに仲間がいるという安心感と、
仲間を守れるという心地のいい責任感。
これを全て合わせて、
『本当の仲間』
って言えるんだな。