お姫様と若頭様。【完】
俺が何も言えないでいると
紅蓮の副総長・斬風(ざんふう)が
側に来た。
「舞闇、腕、大丈夫か?」
あぁ、そうか、
あんなに綺麗な戦い方をしてて
一瞬でも庇う素振りを見せなかったから
正直忘れてた。
さすが紅蓮副総長様は冷静だな。
「…斬風、まだ終わってないだろ。
赤司はまだ倒れてない。
油断するな」
低い声でそう言ったこいつは
警戒心が全く抜けていなかった。
…まだ終わってない。
確かにその通りだ。
「なぁ舞闇よぉ?
俺たちのトコに来ねぇか?」
突然勧誘を始めた赤司に
舞闇は冷たい視線を送る。
「せっかくだが遠慮させてもらう。
…それに意味ねぇだろ?
どうせお前たち、
今日で潰れんだから」