お姫様と若頭様。【完】
そう、私は学校では性格を変えてる。
おしとやかな良い子に。
「峯ヶ濱様、ご機嫌よう」
「えぇ、秋篠さん、ご機嫌よう」
「キャァッ!
名前覚えてくださったのですか?」
「えぇ、勿論よ。
秋篠 麗(あきしの うらら)さん。
素敵な名前ね」
「そ、そんな…!
峯ヶ濱様の方が何倍も素敵です!!」
「ふふっ、あら、ありがとう」
ふふっ、ってお上品に笑って
相手の機嫌を伺って。
これがここでの私。
ご機嫌よう、なんて普段言わないもの。
秋篠さんは頬を染めて、
手を振り嬉しそうに去って行った。
私も手を振り返す。
そんな頃合いを見計らって
アラレちゃんは、
「ゆず完璧過ぎ。
本当に隙がなさすぎだわ」
とボソッと言っていた。
…私に隙なんてあり過ぎだと思うけど。
まぁそれは私の中だけの秘密。