お姫様と若頭様。【完】
Take11
【楪side】
ただただ、
目を閉じていた。
開けようと思っても開かなくて、
"あぁ、私死んだのかな"
って、漠然とそう思った。
ただもう、これでやっと解放されると、
悲しみから逃れられると、
ひとり歓喜に包まれていた。
誰かを守って死ねるなら、
それ以上の幸せはない。
…ねぇ、
あなたは私のこと見てる?
あなたと同じように
誰かを守れたんだよ?
こんな幸せってある?
…でもこの世界は暗闇で、
先も後も分からなくて。
ここは確実に天国ではないのだと、
やはりそうだという思いと、
見て見たかったという思いがあった。
こんなことして自分勝手だということは
わかっているけれど、
誰かを守れたらまた、
あなたに会えると思っていたの。