お姫様と若頭様。【完】

今日も女と遊んで来たのか、
少し衣服の乱れがあった茶芽。




「なぁ茶芽、
マジで隠してることあんだろ」


俺がそこまで鈍感だと思ってたか?



「何もねぇつってんだろ」


女遊びの後は必ず荒れている茶芽。

倉庫内にあるあいつの部屋は
今じゃもう悲惨なことになっている。






「俺も美紀も気づいてないと思ったか?


お前やソウは最近おかしい。


下っ端の奴らだって
薄々感じているはずだ。

最近倉庫内がピリピリしてんだよ」



「だから何もねぇって。

ただ今日の女がウザかっただけだ」


「そうやってごまかすのもう止めろ。


何でも話せとは言わねぇけどよ、
少しは信頼しろ。


仲間だろ?」



「…仲間だから無理なこともあんだろ」


「あ?」


ボソッと言った茶芽の言葉は
俺の耳には届かなかった。






「最近美紀がユズに会えねぇって
うっせーんだよ。

ソウも全然来ねぇし」


俺の呟きに茶芽の肩が少し反応した。






「…おい、ユズはどうした?」


絶対にこれだと確信した俺は
茶芽に問う。



「…知らねぇ」


それでもやはり口を割らないこいつ。


どんだけ頑固なんだよ。




「あいつに何かあったらどうすんだよ?

あの一件以来見てねぇし。


ソウも同じだ。

あいつここ来ねえしおかしいだろ」


おかしいことばかりで、
なんか落ち着けねぇんだよ。






それでもやはり茶芽は「知らねぇ」の
一点張りで…。




信用されてねぇのな、俺。





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