お姫様と若頭様。【完】








ー数日後ー










結局あの後茶芽からは何も聞き出せず、
現状は何も変わらなかった。


ただ、何となく前以上に
茶芽が荒れている気がした。


もうあれから倉庫へは来ていない。


下っ端達も俺らが喧嘩したんじゃねぇかと心配していた。




そして俺は今日、この間怪我した下っ端のお見舞いに来ていた。






この消毒液やら薬品やらの匂いは、
正直凄くトラウマだ。



仲間や知り合いが怪我して運ばれて、
そして結果を聞いて…。


仲良かった人や知り合いがここに来た時は本当気が狂いそうになって…。


特にユズは皆を守るからすぐ怪我して
よくここに運ばれている。


診察室、悪ければ手術室の前での
あの時間は、マジで地獄だ。


あいつにはいつもヒヤヒヤさせられる。


もっと自分を大事にしろよ。





そしてやっぱり1番強く
記憶に残ってんのは、


傷ついたあの人と、

絶望を宿した瞳から涙を流すユズ。



あの時の光景が、
ここに来ると嫌でも蘇る。


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