お姫様と若頭様。【完】
その時俺はハッとした。
そうだ、あの日俺は怪我人の手当てをしててユズ達の様子を1度も見てない。
それはもちろん一緒にいた美紀もだ。
"この2人が知らないこと"
そしてあの場にいた茶芽やソウが
あの日からやけにおかしい。
"あいつらしか知らないこと"
「多分もう少しで2ヶ月?」
"2ヶ月眠り続ける女"
「あの子もずっと寄り添っててさぁ。
本当に可哀想」
"眠り続ける美女に寄り添う美男"
「なんか暴走族とかヤクザとか
関係してるって噂!」
"族と組が関わる大きな抗争"
「女の子、
誰かを庇って銃で撃たれたらしいわ」
"他人を危険を顧みず守る女の子"
「ええっ?!
普通銃って怖くて体動かなくない?」
"銃に反応できる人"
俺や美紀がユズを好きなこと。
"彼女に何か遭ったら暴れるふたり"
"俺らに何も教えず荒れる茶芽"
"あの日以来倉庫を訪れないソウ"
そして何より、
"あの日以来姿を消したユズ"