お姫様と若頭様。【完】





「ソウ…倉庫来なよ」



落ち着いた美紀の声がした。




「ずっとここにいたって
ユズは目を覚まさないよ。



こんなこと、ユズが望んでると思う?」








































「あの時俺が助けてたら、

前に立ってたら、

計画をしっかり立ててたら、


…あの場に来させなければ。




ずっとそんなことばかり考えてたんだ。



俺の所為でユズがこうなったって、
どうしても思っちまうんだ。





…あの人みたいになったらって、
ずっとずっと怯えてた。



ユズはこのまま目を覚まさない可能性も
あるって医者から聞いた。




…あの人とおんなじ運命だなんて、
皮肉なもんだよな。



あいつとあの人は
いつでも強く繋がってて、

目に見えないはずの絆が
目に見えてしまいそうなほどだった。


それほど強い絆だった。



ただ恋人とか体の関係とか、そんなんで
繋がってるんじゃないってすぐ解った。




愛し合ってて、美男美女で…
誰よりもお似合いのカップルで…。


浸け入る隙なんて全くなくて…。


まさに理想のカップルだった。



























最後の最後まで、
最高のカップルだったんだ…!」




あんなことがなければ、
あんなことがなければ誰も傷つかなくて
ただただ幸せだったのに…。



俺ら全員があの日、
一瞬にして地獄に突き落とされた。



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