お姫様と若頭様。【完】
ーパシッ
ードカッ
誰かの殴られた音と呻き声に
恐る恐る目を開けると、
倒れていたのはあの人…
…ではなく、私に絡んで来た男。
その様子に仲間のあつらも唖然。
そして「「すいませんでした!」」と
謝ると一目散に逃げて行った。
「大丈夫?」
男の人に声をかけられハッと我に返る。
「あ、すいません…
ありがとうございます」
「ん、どういたしまして」
そう言ってにっこりと笑う彼に、
さっきのような怖さはない。
「ヨールー!
何やってんだよ、そろそろ行くぞー!」
"ヨル"
そう呼ばれた人はまた笑って
「またね」
そう言った。
こんな広いところでまたね、なんて、
次があるかなんて分からないのに…。
なぜか私はその時、
この人とはまたきっと会えるって
確信に近い何かを感じていた。