お姫様と若頭様。【完】
バイクで走ること数分、
目的地に着いた。
「ここのケーキ、
すっごく美味しいんですよ」
そう言って笑うと
彼も笑い返してくれた。
ーブォンブォン
突然、
大きなバイクのエンジン音が響いた。
驚いて音源を見ると柄の悪そうな男達。
「この間はよくもやってくれたなぁ、
宮藤!」
宵さんを知っているらしい相手。
そのリーダー的な男の後ろにいたのは
…この間私に絡んで来た男だ。
「おっ、そいつがお前が言ってた女か」
と厭らしい目で私を見る男。
その目にゾッと鳥肌が立つ。
「…いゃ」
私が小さな声で拒否すると
私を背中に隠してくれる宵さん。
「さっきからつけて来て何の用?」
そう言う宵さんに、
初めてつけられていたことを知った。
「この間は世話になったなぁ。
…その借り、ここで返してやるよ」
そう言ってバイクから降り
鉄のパイプを振り回す男。
宵さんはそれを器用に避けて
相手を次々と倒して行った。
その姿はとても力強くかっこ良かった。
「また助けてもらっちゃいましたね」
男達が倒れた後、
彼に駆け寄って言った。