お姫様と若頭様。【完】







走ること20分




連れて来られたのはバイクがたくさん
止まっている大きな倉庫のような場所。


中からなんとなく大きな音が聞こえる。



そしてバイクを止めて私をバイクから
降ろすと、そのまま中へ入った。




「わあっ…」



その中は人で溢れていて彼の姿を見ると
皆頭を下げて挨拶をしていた。



そんな彼らに軽く挨拶を返すと
私にこっちだよ、と合図を送った。


私もこくりと頷いて突き刺さる視線を
できる限り無視し必死に着いて行った。



そして上の方の階の大きな扉の前。


彼は迷うことなくその扉を開けた。




ーキィ


少しの音を立てて開いた扉。




「おっ宵、おかえり〜」

「遅かったですね」

と声を掛ける人達。



「あぁ」

そんな彼らに安心したように柔らかい
笑顔を向ける彼。

相当信用しているのが伺える。




「んっ?宵その子だぁれ?」

となんだか可愛い感じの男の子が
私を見て言った。



「あっ、峯ヶ濱 楪です…」


「えっ、峯ヶ濱って…」

「君があの、峯ヶ濱 楪ちゃん?」


"あの"?


「あのかどうかは知りませんが、
峯ヶ濱です」


「峯ヶ濱ってもしかして…財閥の?」


「…はい」


すると驚いたようにこちらを見る皆。


宵さんにも言ってなかったから
凄く驚いている。



「ヨル、どこで知り合ったんだよ?」

と宵さんを質問攻めにする人。


「隣町の街中」


「あそこ変な奴多くない?」


「……」


そこで2回も男に絡まれた私。


「ま、まぁ…多いですよね?」



身を持ってそのことを実感したし。


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