お姫様と若頭様。【完】
そんなこんなで教室の前に着いた。
「あぁもう授業始まってるね。
どうしよっか?」
するとガラッと何事もない顔で
扉を開ける瑞。
「あっ、おい瑞!」
「今入ってこいって声したから」
…マジか。
そんなの聞こえなかったぞ?
ってかなんで教師は俺たちが
ここに来たこと気づいたんだよ?
「はい、じゃあ自己紹介」
その担任の言葉に頷き、
「僕、如覇 翠(もは すい)だよ。
よろしくね」
そう言ってニコッと笑った。
「「「キャー!!」」」
「翠く〜ん!可愛い〜!!」
「マジで可愛い〜!」
「こっち向いてぇ〜!」
うっざ。
そう思いつつも笑顔で手を振る。
甘ったるいキモい声出してんじゃねぇ。
「……麻界…瑞…(あさか みずき)」
「「「キャー!!!」」」
「瑞君も可愛い〜」
「目ぱっちりだ!」
「女みてぇだ」
…チッ、瑞は女じゃねぇし。
そんな奴らと一緒にすんな。
「翠…んな顔すんな。
…バレるぞ、本性」
「…だってよぉ……
瑞、馬鹿にされてんじゃん」
小さな声で呟いたため
瑞に届かなかったのか、
そのあと会話が続くことはなかった。