お姫様と若頭様。【完】
いつも通りヨルに迎えに来てもらってから学校へ行こうとしていた時だった。
朝は人通りが多く、家の前は割と安全だ
と言うこともありいつも通り、
家の前でヨルを待っていた。
「むむむっ…ヨル10分遅刻だよぉ…」
今日ヨルはいつもの時間に来なかった。
絶対に時間より早く来るヨルが
遅刻だなんて…。
何かあったのかなぁ?
そんなことを考えている時だった。
「君、峯ヶ濱 楪?」
ふと声のかかって来た方を見た。
知らない男。
私のどこかが"危ない"と
危険信号を出していた。
そのため1歩下がって家の方へ近づく。
それに合わせ、男も1歩前進した。
「な…なんでしょうか?」
男の質問には答えず、要件を聞く。
「さすが紅蓮の姫。
警戒心バッチリじゃん」
相手も私の質問には答えず、
まじまじと私を見た。
「うっわマジ極上な女。
うちの王様が気に入るのも分かるわ」
「…な、何言って…「俺についてこい」
私の言葉を遮り命令して来る男。
失礼すぎるッ!
…ってそうじゃなくて……
「なんでついて行かなきゃ
いけないんですか?
見て分かる通り、
私、人を待っているんですけど?」
相手のペースに乗せられてはダメ。
努めて冷静に。