お姫様と若頭様。【完】
そんなビビらない私に
痺れを切らしたのか、
男はナイフを私の首に押し当てた。
一瞬の出来事で身動きが取れなかった。
いくら人通りが多いとは言え、
腕を引っ張られて門の後ろに隠されてしまえば通行人から見えない。
…私としたことが。
まさに大失態。
人目があるから相手もそうしかけて来ないだろうと鷹を括っていた。
でもー
「…別に良いわよ?
ここでそれを使っても」
長年峯ヶ濱として
命を狙われて来たんだ。
こう言う経験だってないわけじゃない。
私だって伊達に峯ヶ濱次期社長って座に
ただ悠々とついていたわけじゃないの。
そんな簡単に運命を受け入れる程
私、ヤワじゃないから。