お姫様と若頭様。【完】
【宵side】
いつもより少し遅くなってしまった。
その所為で
こんな渋滞に引っかかる始末。
もっと早く起きていたらと
数十分前の俺を酷く恨む。
きっと楪も何分も待たされて
頬を膨らましている頃だろう。
そんな楪を思い浮かべ、
自然と笑みが溢れた。
付き合い出してから"ヨル"、"楪"と
名前で呼び捨てにし合うようになった。
今こそはもう慣れたものの、
最初はぎこちない感じで
「…ョ…ヨル……」
そう呼ぶあいつが可愛くて
仕方なかった。
今はもう流石に慣れたようですんなりと
名前を呼んでくれるようになったが、
他の奴には名前呼び捨てなんて、
あんな可愛い姿を見せるだなんて、
絶対にやめて欲しい。
あいつに一方的に惚れていただけの時は
ここまでは思わなかったのに、
彼氏になって日が経つにつれて
どんどんあいつにハマって行く。
そんな俺も悪くねぇかもなんて思う俺は
相当楪を溺愛してんな。