お姫様と若頭様。【完】

【楪side】


目を覚ますと知らない部屋


状況を整理する為
頭を使おうとすると襲う激しい頭痛


起き上がろうとするとそれをさせまいと
言うようにベッドに繋がる手首


足もなんだか長い鎖に繋がれていて
重いのもあって少ししか動かせない






「はぁ〜…」


ため息を着いた時さっきまでは
丁度見張り交代だっただけなのか、
一人の男が部屋に入って来た。


その男は私を拉致した男ではなく、
相手はやはり複数だと知る。





「やっと目ぇ覚ましたか」



「…そんなことよりヨルは無事?」


男の問いかけには一切反応せず
聞きたいことだけ聞く。



「せっかちな姫さんだな」


そう言うと状態が起こせず寝転がる私を
上から見下ろした。



「…これも離してよ、逃げないから」


どうせ監禁してなくたってヨルを人質に
取られているなら抵抗しない。



「それは無理だな。


なんてったってお前は、
うちの王様のお気に入りだからな」


昨日も聞いた言葉。


…誰なのよ、"うちの王様"って……!


お気に入りだかなんだか知らないけど
嬉しくないし…。




「まぁ確かに…イイ女」



その視線に背筋がゾクっとした。



…いや、やだよ、ヨル。



助けて、助けて…。



「ヒヒッ、俺の相手してくんねぇ?」





男のその笑顔に、
激しい嫌悪感しか湧かなかった。



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