お姫様と若頭様。【完】
Take14
あれから零波に送ってもらって
家に着いた。
家にはいつも通り夕梛がいて、私の様子が変なことに気づいて心配してくれた。
さすが夕梛…。
こんな些細な変化にも気づいてくれる
なんて…私の専属執事は夕梛だけだ。
「本日は"あの方"が
お見えになるようですが…」
そっか、あの人が来るのか…。
(※P5の"あの人"と同一人物)
夕梛の不安そうな顔はその所為か…。
私のこと、
心配してくれているのでしょう?
本当に夕梛は優しいんだから…。
「ふふっ、大丈夫よ夕梛。
私はなんともないから。
いらっしゃったらお通しして」
「ですがお嬢様…!」
「いいから。
…本当に、私は大丈夫だから…」
久々にあの人が来る。
…相当溜まってるだろうから、
明日は少しきついかな。
……でも、彼らに与えられた時間は
そんなに長くない。
1日、1分1秒でも長く、
皆と一緒にいたい。
その為には明日も学校へ、
倉庫へ行かなきゃ。
それに峯ヶ濱としても、
ちゃんとしなきゃ。
夕梛の近くに寄って
ふわふわと頭を撫でる。
髪がサラサラで、
撫でているこっちが気持ちいい。
そんな心配しないでって気持ちが
少しでも伝わるように、
出来る限り優しく撫でた。